2015/12/21

オイコノミア「短気は損気"怒り"の経済学」

今日のオイコノミアは、「怒り」の功罪について、
経済学の側面からみてみます。

1. 前園氏が登場

ゲストは、元サッカー選手の前園氏です。
番組の冒頭から、氏の暴行事件の話になります。
スポーツ紙の紙面まで使って煽るEテレ。

2. マテラッツィ効果とは

まずは、怒りのプラス面・マイナス面について、
最新の経済学研究の成果が紹介されます。
その名も「マテラッツィ効果」

マテラッツィ効果とは何でしょうか。

2006年のサッカーW杯において、相手チームのジダン選手を
挑発し、その結果、ジダン選手がマテラッツィ選手に頭突きし、
ジダン選手が退場させられたという事件がありました。

このように、ジダン選手を退場に追い込んだマテラッツィ選手の
振る舞いから、マテラッツィ効果という言葉ができました。

マテラッツィの行為は、ジダンを怒らせて、ジダンだけではなく
フランスチームをメンタル面で力を発揮できなくさせ、
弱体化させる作戦だった。

行動経済学では、こう考えるようです。


ウリ・ニーズィー教授の研究では、怒ることで、
  • メンタル要素の強い競争 →生産力が下がる
  • フィジカル要素の強い競争→生産力が上がる
といった現象が見られるとされています。この点からすると
サッカーでは、メンタルの側面が勝敗に大きく影響すると
言えそうです。

3. 「怒り」の経済的なマイナス面

次に、怒ると、公共の利益に協力しなくなる場合が多いという
ことが紹介されます。
題材は、「公共財ゲーム」
ゲームのルールの詳細は、こちらのサイトに譲ります。

利己的なふるまいの方が有利だとわかると、初めは利他的に
行動していた人も、次第に怒りを感じて、利己的にふるまうようになる
という実験が行われました。

4. 怒りをしずめるために、するべきこと

テーマは変わって、人の怒りをしずめるにはどうすればいいか、
クレーム対応のロールプレイが行われました。
この辺は、経済学という感じではないですが、ビジネス上の
処世術とということで、とりあげたのでしょう。

クレーム対応のポイントは、以下の3点です。
(1) 真剣に相手の話を聞く
(2) 謝罪する
(3) 共感(逃げない姿勢)
これによって、相手の怒りが軽減します。

一方、自分の怒りをしずめるためには、どうすればよいかについても
紹介されました。
このテーマは、私にとっても大いに参考になりました。

前園氏が、例の謹慎期間中に、アンガーマネジメントの研修を受けて
自分の怒りを理解しコントロールするすべを身に付けたことから
話が始まります。

企業研修の場でも、怒りをしずめるためには、怒った直後の6秒を
乗り切ることが大切だと言われているそうです。
怒った感情を、うまく解消しないと、ネガティブな思考が強まって、
その後の活動にもマイナスだということが深く理解できました。

では、怒りをしずめるために、どういう方法をとればよいのでしょう。
番組では、「壁に止まったハエの目線」になって、自分を振り返ると
客観的に見つめることができ、冷静になって怒りが大きくやわらぐ
という研究結果が紹介されました。

逆に、怒ったときの状況を自分の視点から振り返っても、かえって
自己中心的になり、怒りが強くなるだけで逆効果だそうです。

5. 「怒り」の経済的なプラス面

最後に、怒りの感情が、マイナス面ばかりではなく、
プラスの面があることも紹介。

(1) 不確実なことでも確実性が高いように感じる
(2) 自分で周りのことをコントロールできると感じる
(3) リスクを取る傾向がある

例えば、副作用が怖くてなかなか踏み切れなかった治療に踏み切れたりと
怒りの感情には良い面もあるようです。


次回のオイコノミアはこちら「"笑い"の経済学」