2018/06/30

ふるカフェ系 ハルさんの休日「東京・西荻窪」名人によって今によみがえった古民家カフェ

今回、ハルさんが訪れたのは、都会の中、駅の近くのふるカフェです。

店の名前は、りげんどう。住所は、杉並区松松庵3丁目38−20。

屋根は、桟瓦(さんがわら)、最も多く使われている、ありふれた瓦です。外壁は、下見板張り(したみ・いたばり)。板を重ねて貼ることで、雨が入り込むのを防いでいます。

塀は、大和塀。正面から見ると、まったく中が見えない。でも、板が筋違いに貼ってあるから、風は通るというすぐれものです。昭和の初めに流行ったらしい。

この建物は、いわゆる文化住宅のように見えます。文化住宅とは、大正時代に、洋風の生活を取り入れた最先端の住宅のことを言います。

玄関は、中が良く見えるガラス戸。

足を踏み入れてみると、建具は和風です。レトロな空間が広がっています。

ハルさんが、いなり寿司と紅茶を注文をしていると、そこに現れたのは見覚えのある顔。

東京・あきる野の回で登場した、一級建築士・酒井晢さんです。酒井さんは、多摩地域の洋風建築に詳しい方。

酒井さんといっしょに、この建物をもっとくわしく見てみたいと思います。

文化住宅の特徴の一つは、今までの畳中心の生活ではなく、イスを使う洋風の生活をイメージしているということ。現在の住まいの原型と言えます。

この建物が文化住宅だった、ということを示す跡がないか、建物を中を探検してみるハルさんと酒井さん。でも、けっきょく見つけられませんでした。

そこに来たのは、大家の尾崎美穂子さん。答え合わせをします。

この建物は、土地を借りていた家族が建てたものだそうです。家族が住まなくなったので、尾崎さんのお父様が譲り受けました。

でも、建築基準法に引っかかって建て替えることができず、そのまま残されていたのが、カフェに生まれ変わったというわけ。

もともとの間取りは、日本家屋でした。1階は和室2間。娘さんの代になって、2階を増築しました。


さて、ランチをいただきます。かわいらしい見た目、少しずつの量が何品かあって、女性客向けです。


ここで、お店のオーナーが、メニューや内装について紹介してくれました。

テーブルには、変わった模様がついています。これは、型友禅で使われていた版板です。テーブルの脚には、鉄のレールが使われていたり、雰囲気づくりがうまい。

調べてみると、この松場夫妻は、石見銀山生活文化研究所という会社を設立して、アパレルなど、いくつもの事業を動かしています。

古民家の再生も、10軒ほど手がけていて、使う建具にも細かい気配りが行き届いています。ガラス戸の模様を1枚だけ変えてみたり。

松場さんは、「復古創新」という理念を掲げて、過去・現代・未来を見ながら、古い良いものを未来に生かしていこうとしているのです。

昔ならどこにでも普通にあったような古民家が、現代ではなかなか見ることができない素敵な空間に生まれ変わっていました。

2018/06/23

おかあさんといっしょで「大きな古時計」が流れた日

「おかあさんといっしょ」といえば、  朝8時からEテレで放送している子ども向けの長寿番組です。歌あり人形劇あり、私も子どもの頃はよく見ていました。

わが家でも、子どもが好んで見ています。

朝の連ドラ「ひよっこ」を序盤で見るのをやめて、「おかあさんといっしょ」を見るようになりました。それから考えると、もう1年以上は見ているはずです。

その「おかあさんといっしょ」で「大きな古時計」の歌が流れました。すると、画面に釘付けになる子ども。

わが子は、もともと歌のコーナーが好きなのですが、クギ付けになっている感じがいつも以上で、ただ事ではない。

私が身支度をしながら、その様子を眺めていました。横目で見る感じでしたが、画面に吸い込まれるように見ているさまが伝わってきました。

帰って妻から話を聞くと、「大きな古時計」の歌をせがまれて、1時間くらい歌ってあげたとのこと。それを聞いて、やっぱり気に入ったのかと思ったのでした。


「大きな古時計」の歌詞は、「100歳生きたおじいさんが天国に旅立った後、時計も止まってしまった」というものです。
ヘンリー・クレー・ワーク氏によって、1876年に発表され、アメリカで楽譜が100万部以上売れたらしい。現在よく知られている日本語の歌詞は、1962年にNHKのテレビ番組『みんなのうた』で、保富康午の訳詞によって「大きな古時計」として放送されたもの。(Wikipedia)
子どもが、どこまで内容を理解したのかはわかりませんが、何かを感じて心が動いたのは間違いない。

今回のできごとで、「悲しい」という感情がわかる土台が、子どもの中にできているのかなと思いました。

今までは、悲しい話の絵本を読み聞かせることはありませんでした。また、読んであげても、意味がわからないのではないかと思っていました。

でも、これからは悲しい話の絵本も読み聞かせてみよう、と考えるようになったのです。

2018/06/22

ふるカフェ系 ハルさんの休日「神奈川・箱根宮ノ下」訪れる人を受け入れるという想い

今回、ハルさんが訪れたのは、箱根町・宮ノ下にあるカフェです。どうやら、老舗旅館とかかわりが深いカフェらしい。

宮ノ下といえば、箱根駅伝のランナーが通過することでも有名な温泉街。

露天風呂に入って、開店までの時間をつぶすハルさんです。

箱根は火山ですから、宮ノ下以外にも、温泉場があります。湯本・塔ノ沢・堂ヶ島・宮ノ下・底倉・木賀・芦ノ湯をまとめて、箱根七湯と呼んでいます。

このなかで、堂ヶ島・宮ノ下・底倉・木賀の4つの温泉場は、宮ノ下にあるのです。いかに宮ノ下が温泉街として栄えているか、うかがえます。

おめあてのカフェは、坂道の途中にありました。店の名前は「ナラヤカフェ」。住所は、神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下 404-13。

店の前には、足湯のスペースがあり、テーブルもあるので、そこでお茶ができます。

建物を外から見ると、赤茶色にさびたトタン板が目に入るので、ちょっと廃屋みたいな感じもしますが。

中に入れば、別世界。年月を経ていそうな太い茶色い柱と、白い壁が、目にあざやかです。

そして、上を見上げれば、2階の床を外した吹き抜け。日本民藝館に行ったときも感じましたが、やっぱり吹き抜けは気持ちがいい。

店の中には、ひょうたんのモチーフがたくさんあります。思い返せば、宮ノ下の町の中にも、ひょうたんがあちらこちらにありました。

なぜひょうたんなのでしょうか。話は、戦国時代にさかのぼります。

豊臣秀吉が、小田原城攻めをしているときに、宮ノ下に石風呂を作って、兵士を療養させたそうです。秀吉の軍勢が滞在したおかげで、街がにぎわったそう。そこで、秀吉をたたえるために、秀吉が馬印として使っていたひょうたんのマークを、街のシンボルにしているのです。

店では、ひょうたんモナカを食べることができます。

お店の店主、安藤さんの家は、もともと奈良屋旅館という、老舗旅館でした。しかし、2001年に閉館してしまいます。

2006年に、安藤さんが手放さなかった築50年の古民家3棟を改装して、カフェをオープンしました。そのとき、旅館の建具や照明を再利用したのです。

安藤さんは、今でも、ゲストハウスをオープンする計画を進めています。

手伝っているのが、地元の大工・芹澤さんと材木店・大山さん。木を使った建物を建てることについて、熱い想いを聞くことができました。

次に紹介されたのが、ナラヤカフェのとなりにある「ならやあん」。木を使ったおみやげものを取りそろえています。

小田原漆器職人の鈴木さんが登場。小田原漆器は、室町時代から続いています。透明なウルシをぬることで、木目そのままの美しさをきわだたせているのです。

小田原の若手木工職人集団「いぶき会」という団体があることを知りました。

最後には、安藤さんのお父さんが登場。

たしかに旅館という建物の形はなくなってしまいました。でも、箱根という場所では、訪れる人をこころよく受け入れる、という気持ちは今でも息づいているのです。

2018/06/20

柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)の布に出会った2018年・梅雨

日本民藝館でやっている、柚木沙弥郎展に行ってきました。

家を出る時間が遅かったうえに、代々木上原の立派なお屋敷をながめながら、ゆっくりたどり着いたので、かけ足で見ることになりました。

まずは、西館が開放されていたので、そちらの見学から。なにしろ、月に4回しか公開されていないというので、見逃すわけにはいけない。

この西館は、柳宗悦の自宅を移築したものです。立派な書斎があって、すこしうらやましい気がしました。

そして、柚木沙弥郎展へ。まず、目に飛び込んでくるのは、2階から1階へ垂れ下がる長い布。紺色の半円が、重なりながら繰り返し描かれています。

そんなシンプルなデザインなのに、ものすごい力強さを感じます。これを見ただけで、もう満足。

子どもも(親の真似をしただけかもしれませんが)、「おおーすごい」と歓声を上げました。他の展覧会では、そんなことを言ったことはないのに。

そのほかの作品も、見ごたえがあるものばかりでした。

作品を見終わって、絵を買うことは難しいけれど、布ならどうにかなりそう、と思って少し探してみました。

「わ」というお店が柚木沙弥郎の作品を取り扱っています。が、シルクスクリーン以外は、のきなみ売り切れです。

フランス国立ギメ東洋美術館に70点も収蔵されているくらいだから、手に入れるのは、なかなか難しいようです。

2018/06/16

久しぶりの竹久夢二展 昔に見たときと感じ方がちがう

東京ステーションギャラリーといえば、東京駅からすぐ行ける美術館です。そこでやっている「夢二繚乱」展を見てきました。

この展覧会は、電車内にポスターを出しています。夢二の作品をうまく並べていて、現代風のおしゃれさを感じます。展覧会に向けて、期待が高まります。

そして入場料が、一般で900円。主催に東京新聞が加わっているせいかどうかはわかりませんが、とても安いです。ありがたい。

さて、展覧会はどのようなものでしょうか。

個人的には、学生のころには竹久夢二の作品を多く見た記憶があります。夢二単独の展覧会は久しぶりです。

感じたことは、何よりも、作品の数が多いということ。そして、いろいろな出版の形で発表しているということです。

画集だけではなく、雑誌の表紙、楽譜の表紙、絵はがきなどなど。

もちろん人気があったから、多くの作品を生み出すことができた、とも言えるでしょう。

夢二は、美術の大学に通って専門的な美術の教育を受けたわけではありません。そのような夢二にとっては、次から次へと作品を生み出していくことこそ、作家として成長するための力となったのです。

例えば、25歳の時の作品「夢二画集 春の巻」では、りんかく線に迷いがあります。しかし、39歳の時に発表した「どんたく絵本」では、線もすっきり、色はシンプルで、ものすごい洗練されています。


夢二といえば、美人画というイメージがあります。今回の展覧会で思ったのは、夢二は絵本作家としても、すぐれた作品を生み出したということです。

私にとって、子どもへの読み聞かせという形で、絵本が非常に身近になっています。だから、より、絵本作家としての夢二に興味を持ちました。

このように、いろいろな楽しみ方ができる、竹久夢二の展覧会です。

2018/06/14

ふるカフェ系 ハルさんの休日「高知県・高知市」築160年どっさり土佐がつまったカフェ

今回ハルさんが訪れたのは、高知市。高知駅前では、坂本龍馬など土佐三志士が出迎えてくれます。

お店に着くと、目に飛び込んでくるのは、長さ数メートルもあると思われるのぼり。店の名前は、土佐水木。住所は、高知市槇山町10−24。

ちなみに、土佐水木というと、四国の山で生えている木のことでもあります。庭木としても使わる木です。

車を使わないで行くとすると、高知駅から、土讃線(どさんせん)に乗り、朝倉駅でおりて、歩くことになるようです。駅から店までは2kmくらいあります。

屋根に使われているのは、水切り瓦。高知独特の瓦です。水切り瓦についてはこの記事にくわしく出ています。

この瓦は、建物を雨から守るだけではなく、装飾として発展しました。

そして、壁は土佐しっくいです。ふつうのしっくいとの違いは、「わらすさ」と呼ばれるワラを発酵させたものを混ぜる点にあります。

蔵の軒下の木材にも彫りがあり、装飾の細かさを感じる。

店の外を歩いてみると、塀が敷地の内側にあります。不思議です。建物の中に入ってみると、この塀があることで、庭が箱庭のように見える効果があると分かります。

芝と石畳が、市松模様のように並んでいて、美しい。

店の中に入ってみると、カフェではありませんでした。パン屋さんになっています。

気を取り直して、カフェスペースに進むと、座敷とテーブル席があります。店のサイトによれば、テーブル席・カウンター席・掘り炬燵席など80席。 個室は4名、8名、10名の3部屋あるということです。

番組ではこじんまりと見えましたが、駐車場も30台分あるそうで、かなり広いお店です。

立体的な彫りのランマが特徴で、建物の格を感じます。

メニューを見たハルさんは、昼なのにモーニングが食べられる、ということにびっくり。

いつものようにお店の中を探検していたハルさんは、床の間に馬のランマを見つけました。

なぜ馬のランマなのでしょうか。それは、この建物のオーナーである岡林家が、土佐藩の馬廻をしていたからです。

(馬廻とは、大名の側近に当たる人、だそうです。)

古い建物は地域の宝と考えている大西さんが、建物の持ち主である姉妹から管理を託されました。そして、カフェに生まれ変わったのです。

大西さんは、他にもお店を手がけています。

ここで、モーニングがハルさんのところに運ばれてきました。パン三種・サラダ・グラタン・ゆで卵・デザート・ジュース・コーヒーと、ものすごい品数です。

地産地消にこだわった野菜のサラダが自慢です。高知といえば、野菜の一大産地ですからね。


別の部屋では、大きな大漁旗のようなものを広げた人たちが集まっていました。

この旗は、フラフと言います。端午の節句に飾られるそうです。先ほど紹介した大西さんの弟に、三つ子が生まれたとのことで、フラフを作ることにしたのです。

このサイトによると、かつては生まれた子の名前をフラフに書いていたそうですが、最近では、個人情報ということで、敬遠されているとのこと。時代を感じます。

フラフに見られるように、高知には、人を喜ばせたいという文化があります。

「おきゃく」も、そういう文化の一つです。もともとは、自宅に人を招いておもてなしをすることを「おきゃく」と呼んだそうですが、今では、お店でやる宴会も「おきゃく」と呼びます。

土佐のおきゃく事務局というものがあって、早春にイベントをしているのです。商店街で飲み食いをするという、思い切ったイベントです。

そういえば、高知の人はお酒が強いのだった。

川口からだと、なかなか遠く感じてしまう高知ですが、いつかは行ってみたいと思う魅力があります。

2018/06/13

外づらだけは歴史的な米朝首脳会談

20日ほど前には、米朝首脳会談は中止になるなんて言われていたのに、結局開催されました。

ふたを開けてみると、ほとんど目新しさはないです。
このツイートのリンク先に、合意文書の全文がのっています。
  • アメリカと北朝鮮が、努力して仲良くしていこう
  • 北朝鮮が、朝鮮半島の完全非核化のために努力する
  • 朝鮮戦争の時の捕虜・行方不明者を取り戻す
以上のような、努力目標ばっかり並んだ内容です。

国務長官のマイク・ポンペオ氏は、捕虜・行方不明者を取り戻すことで合意できたことが、最も意義深いとツイートしています。

このビデオを撮りたかったから、とにかく形だけでも会談をしたかったのでは?と、思いました。

2018/06/09

ロスパペロテスという店で、ある絵本に出会った話

代々木上原の駅ちかくに、ロスパペロテスという古本屋があります。

はじめは、時間をつぶすためにふらっと立ち寄ってみました。入り口には、あまり特徴のない、どこにでもありそうな本が並んでいます。

そこから店の中へ、ベビーカーがやっと通れるくらいのせまい通路を入ってみます。すると、宝の山のような英語の絵本がありました。

代々木上原みたいにおしゃれな店が並ぶ町で、英語の絵本を選ぶと、少し気持ちよくなる。そんなふうに思いながら、本を探してみます。

どんな本がいいか。単語の数があまり多くなくて、絵がきれいで、読んでいて親も楽しめそうな本がいいなぁと思います。

そうして見つけたのが、"Rain Rain Rivers" でした。

調べてみると、「よあけ」というタイトルが日本でも有名な作家「ユリー・シュルヴィッツ」氏が書いた本です。

雨がふって、その雨はどうなる?、雨のときはどうやって遊ぶ? といった内容の本です。特に感じたのは、銅版画のような細い線で描かれた、きめ細かな挿し絵が美しいということ。

とても欲しくなりました。・・・が、値段を見ると2,500円。

定価はその半額ほどです。古い出版年でしたから、初版かそれに近い貴重なものなのかもしれません。

ウンウンうなりそうなほど迷いましたが、結局買いませんでした。でも、楽しい体験をすることができたのは間違いない。

本屋の後は、代々木公園で寝転がりながらコーヒーを飲み、良い休日となりました。帰ろうとすると子どもが大泣きするのは、いつものパターン。


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2018/06/08

どうしていい器を使うべきなのか、その意味が生まれて初めて分かった

私は今まで、食器というものを意識して使ってきませんでした。

1. いい器に出会うまで

お茶わん、おわん、おかずを乗せる平たいお皿、カレー皿と用途ごとに、使い分けはします。でも、たんなる食べ物の入れ物にしかすぎませんでした。そして、食器は、そのような役割を果たせば十分だと思っていました。

しかし、ある皿に出会ったことで、そのような考えを改めることになったのです。

その皿を見つけたのは、京都四条と五条のあいだにある「木と根」というお店でした。

そのお店は、雑貨を扱うとともに、喫茶店もかねています。以前からずっと、そこの喫茶店に行ってみたいなと思っていました。

何回か訪れたことはありますが、閉店後だったり、休業日だったり、空振りつづき。

今回、ようやくお店が開いている時間に行くことができました。でも結局、着いたときには、喫茶スペースの営業は終了です。

ものすごく気落ちしましたが、せっかく来たのだからと思い、雑貨を見ることにしたのです。

そこで見つけたのが、この皿です。

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実は、もう一枚あった黒い皿も気になりました。ただ、2枚は必要無いなと思ったのです。そこで、より心が動いたこちらの皿を選びとりました。

この皿が、その魅力を放つのは、食べ物を食べ終えた後です。

ふつうは、食べた後の食器は、すぐ流しに下げて、視界から遠ざけたいもの。

でも、この皿の場合は、食べ終えてちょっと汁がたまっているようなサマも、しみじみ見ていたいという気持ちになる。

出会わなければ、こんな気持ちになるということに気づかずじまいだったでしょう。

2. 作者をご紹介

作者の田中茂雄さんは、奈良の明日香の山の中で、陶芸をしています。自宅兼アトリエで、展示販売もしているそうです。

「川口美術」という骨董店のこの記事に、お宅のようすがくわしく書かれています。まさにスローライフそのもの。

あこがれの田舎ぐらしは、あこがれだけで終わりそうですが、この場所は、いつか訪れてみたいです。

もう少し子どもが大きくなればな、と思いつつ。

2018/06/07

ふるカフェ系 ハルさんの休日「栃木・黒磯」マスターとママの魅力の"とりこ"となる

ハルさんが今回訪れたのは、栃木県の黒磯にある築100年の銀行カフェです。

黒磯といえば、宇都宮線の終点であり、東北本線でさらに北に向かうための乗り換え駅です。てっきり黒磯市にあるのかと思いましたが、今では黒磯市は無く、2005年から那須塩原市になっているのですね。

黒磯は、石だらけの街並みです。

石塀があったり、正面は木造に見えても、側面だけ石造りの家があったり。那須連山から吹き下ろす強い風のせいで、昔、黒磯では何回も大火事がありました。そこで、防火・延焼防止のために、石造が用いられたのです。

おめあてのカフェは、全部が石造りです。店の名前は、カフェ・ド・グランボア、住所は那須塩原市本町5−19。

大正モダンを感じさせるこのカフェは、ルスティカ様式の石積みをしています。ルスティカ様式とは、こぶ出しで石に陰影をつける手法。ルネサンス期のイタリアで宮殿建築で多く使われました。

使われている石は、大谷石と地元産の芦野(あしの)石、2つの種類があります。

東京駅にも使われている半円アーチ窓が使われていて、可愛らしい。

ついに自撮り棒を取り出し、高い位置を撮ろうとするハルさん。

カウンターにテーブルが数席と、店の中はそれほど広くないです。でも、格天井(神社仏閣に用いられる格式の高い天井)が使われていたり、かつての銀行としての風格を感じます。

出されたのは、和洋が混ざりあったメニューでした。バターライスに、ひき肉のあんがかかっています。

37年の歴史があるカフェ。元々のお店は、取り壊されてしまったので、今の場所に移ってきました。

マスターのおかげで、この店から、黒磯のジャズが始まったそうです。

最後に、名物ライスの作り方をご紹介。

  1. 豚ひき肉をよく炒め、軽く炒めておいたパプリカ・なす・玉ねぎと合わせる。
  2. しょうゆ・みりんで味付けし、かたくり粉でとろみをつける。
  3. バターで炒めたご飯に大葉を加える。
  4. 盛り付けたら、大葉・白ごま・刻みのりを添えて、できあがりです。










2018/06/06

「女性のアーティスト・研究者は、どのようにキャリアを築いていけばよいのか?」パネルディスカッションをまとめてみた

先日、東京芸大で行われたこの講演会を聞きに行ってきました。(5月26日開催)

第1部は、クローズアップ現代のキャスターをしていた国谷さんの講演でした。ただ、この時は、上野公園で子どもの遊びに付き合っていたので、聞けずじまい。

ちょうど子どもが昼寝を始めたので、第2部のパネルディスカッションから参加しました。

1. データの紹介

まずはじめは、芸術の分野でも、女性の露出が少ないという話から。
Katy deepwell氏の研究成果であるデータをもとに、話が進みます。
  • ドイツの美術大学における教授の割合
  • 画廊における作品のうち、女性作家のもの
  • 美術館の所蔵作品のうち、女性作家のもの
このような項目について、女性が占める割合がいかに低いか、示されました。

この項目について、使われたスライドは、このサイトで見ることができます。

2. どうすれば志を持たせられるか

それでは、芸術系(美術と音楽)の女子学生に、どうすれば志を持たせられるのでしょう。言いかえれば、どのようにキャリア設計を促すことができるのでしょうか。

東京音大では、1970年代から競争原理を持ち込みました。その結果、「せっかく技量を身に着けた女子学生を家庭に戻してしまう」という傾向は弱まりました。ジェンダーバイアスが薄れたのです。

東京音大では、教職員の採用昇進に男女差は無いそうです。

 3.  アーティスト・研究者に必要な力とは何か

芸術分野においてキャリアを築くうえで、不可欠なスキルや知識とはなんでしょうか。また、それらを養う方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

東京音大では、音楽を演奏すること以外にも、さまざまなスキルが必要だと考えています。それを、自己のパッケージ化と呼びます。

自分自身を社会の中で活動できる存在に育て、そうした自分を社会に提示していく力が必要だと考えているのです。専門分野ですぐれているというだけではなく、他の分野の能力と組み合わせることで、その人の個性が発揮されます。

東京音大では、ミュージック・リベラルアーツ専攻という学部をもうけています。
この学部では、
  • 高度な専門実技
  • 英語スキルの獲得
この2つを目指しています。英語スキルの獲得とは、「英語による教養科目」「英文による卒論、制作」です。言葉によって発信する力をもつことが、東京音大のめざすアーティスト像だといえます。

このような力をつけることで、当然、音楽以外の他の分野でも活躍できるのです。

こういったカリキュラムは、美術の分野では難しいのでしょうか。ある美大のパネラーは、言語化をすれば良いとは考えていない、言葉を使わなくても自分の世界観を提示できるのではないか、と答えていました。

4. 実現するために必要な環境とは

女性のアーティスト・研究者が、キャリアを築いていくために必要な環境は何でしょうか。

というテーマでパネラーの人が話しましたが、聞き手の私の注意が散漫になってきたので、箇条書き。

  • 女性らしい〇〇という形容は残念
  • 管理職になることは一つの例だがそれだけではない 
  • セクハラ問題は、声を上げて来なかった自分たちの責任でもあるかも 
  • 女子学生が望んでいることは、意外と保守的である。例えば、東京音大卒業生の傾向を見ると、男性は、音楽活動に進む割合が高く、女性は企業に進む割合が高い。
  • 後輩たちへのアドバイスとして、継続すること・冒険することが大事

5. まとめ

国立音大の人だけが、きちんとスライド資料を用意して、アピールをしていたので、自然と印象に残ります。ミュージック・リベラルアーツ専攻にかける熱い想いが伝わりました。

音楽だけではない、プラスアルファの発信力が大切だ、という考え方は、今のSNS(ソーシャルネットワークサービス)時代にもふさわしいものです。