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2018/06/20

柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)の布に出会った2018年・梅雨

日本民藝館でやっている、柚木沙弥郎展に行ってきました。

家を出る時間が遅かったうえに、代々木上原の立派なお屋敷をながめながら、ゆっくりたどり着いたので、かけ足で見ることになりました。

まずは、西館が開放されていたので、そちらの見学から。なにしろ、月に4回しか公開されていないというので、見逃すわけにはいけない。

この西館は、柳宗悦の自宅を移築したものです。立派な書斎があって、すこしうらやましい気がしました。

そして、柚木沙弥郎展へ。まず、目に飛び込んでくるのは、2階から1階へ垂れ下がる長い布。紺色の半円が、重なりながら繰り返し描かれています。

そんなシンプルなデザインなのに、ものすごい力強さを感じます。これを見ただけで、もう満足。

子どもも(親の真似をしただけかもしれませんが)、「おおーすごい」と歓声を上げました。他の展覧会では、そんなことを言ったことはないのに。

そのほかの作品も、見ごたえがあるものばかりでした。

作品を見終わって、絵を買うことは難しいけれど、布ならどうにかなりそう、と思って少し探してみました。

「わ」というお店が柚木沙弥郎の作品を取り扱っています。が、シルクスクリーン以外は、のきなみ売り切れです。

フランス国立ギメ東洋美術館に70点も収蔵されているくらいだから、手に入れるのは、なかなか難しいようです。

2018/06/16

久しぶりの竹久夢二展 昔に見たときと感じ方がちがう

東京ステーションギャラリーといえば、東京駅からすぐ行ける美術館です。そこでやっている「夢二繚乱」展を見てきました。

この展覧会は、電車内にポスターを出しています。夢二の作品をうまく並べていて、現代風のおしゃれさを感じます。展覧会に向けて、期待が高まります。

そして入場料が、一般で900円。主催に東京新聞が加わっているせいかどうかはわかりませんが、とても安いです。ありがたい。

さて、展覧会はどのようなものでしょうか。

個人的には、学生のころには竹久夢二の作品を多く見た記憶があります。夢二単独の展覧会は久しぶりです。

感じたことは、何よりも、作品の数が多いということ。そして、いろいろな出版の形で発表しているということです。

画集だけではなく、雑誌の表紙、楽譜の表紙、絵はがきなどなど。

もちろん人気があったから、多くの作品を生み出すことができた、とも言えるでしょう。

夢二は、美術の大学に通って専門的な美術の教育を受けたわけではありません。そのような夢二にとっては、次から次へと作品を生み出していくことこそ、作家として成長するための力となったのです。

例えば、25歳の時の作品「夢二画集 春の巻」では、りんかく線に迷いがあります。しかし、39歳の時に発表した「どんたく絵本」では、線もすっきり、色はシンプルで、ものすごい洗練されています。


夢二といえば、美人画というイメージがあります。今回の展覧会で思ったのは、夢二は絵本作家としても、すぐれた作品を生み出したということです。

私にとって、子どもへの読み聞かせという形で、絵本が非常に身近になっています。だから、より、絵本作家としての夢二に興味を持ちました。

このように、いろいろな楽しみ方ができる、竹久夢二の展覧会です。

2018/06/08

どうしていい器を使うべきなのか、その意味が生まれて初めて分かった

私は今まで、食器というものを意識して使ってきませんでした。

1. いい器に出会うまで

お茶わん、おわん、おかずを乗せる平たいお皿、カレー皿と用途ごとに、使い分けはします。でも、たんなる食べ物の入れ物にしかすぎませんでした。そして、食器は、そのような役割を果たせば十分だと思っていました。

しかし、ある皿に出会ったことで、そのような考えを改めることになったのです。

その皿を見つけたのは、京都四条と五条のあいだにある「木と根」というお店でした。

そのお店は、雑貨を扱うとともに、喫茶店もかねています。以前からずっと、そこの喫茶店に行ってみたいなと思っていました。

何回か訪れたことはありますが、閉店後だったり、休業日だったり、空振りつづき。

今回、ようやくお店が開いている時間に行くことができました。でも結局、着いたときには、喫茶スペースの営業は終了です。

ものすごく気落ちしましたが、せっかく来たのだからと思い、雑貨を見ることにしたのです。

そこで見つけたのが、この皿です。

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実は、もう一枚あった黒い皿も気になりました。ただ、2枚は必要無いなと思ったのです。そこで、より心が動いたこちらの皿を選びとりました。

この皿が、その魅力を放つのは、食べ物を食べ終えた後です。

ふつうは、食べた後の食器は、すぐ流しに下げて、視界から遠ざけたいもの。

でも、この皿の場合は、食べ終えてちょっと汁がたまっているようなサマも、しみじみ見ていたいという気持ちになる。

出会わなければ、こんな気持ちになるということに気づかずじまいだったでしょう。

2. 作者をご紹介

作者の田中茂雄さんは、奈良の明日香の山の中で、陶芸をしています。自宅兼アトリエで、展示販売もしているそうです。

「川口美術」という骨董店のこの記事に、お宅のようすがくわしく書かれています。まさにスローライフそのもの。

あこがれの田舎ぐらしは、あこがれだけで終わりそうですが、この場所は、いつか訪れてみたいです。

もう少し子どもが大きくなればな、と思いつつ。

2018/06/06

「女性のアーティスト・研究者は、どのようにキャリアを築いていけばよいのか?」パネルディスカッションをまとめてみた

先日、東京芸大で行われたこの講演会を聞きに行ってきました。(5月26日開催)

第1部は、クローズアップ現代のキャスターをしていた国谷さんの講演でした。ただ、この時は、上野公園で子どもの遊びに付き合っていたので、聞けずじまい。

ちょうど子どもが昼寝を始めたので、第2部のパネルディスカッションから参加しました。

1. データの紹介

まずはじめは、芸術の分野でも、女性の露出が少ないという話から。
Katy deepwell氏の研究成果であるデータをもとに、話が進みます。
  • ドイツの美術大学における教授の割合
  • 画廊における作品のうち、女性作家のもの
  • 美術館の所蔵作品のうち、女性作家のもの
このような項目について、女性が占める割合がいかに低いか、示されました。

この項目について、使われたスライドは、このサイトで見ることができます。

2. どうすれば志を持たせられるか

それでは、芸術系(美術と音楽)の女子学生に、どうすれば志を持たせられるのでしょう。言いかえれば、どのようにキャリア設計を促すことができるのでしょうか。

東京音大では、1970年代から競争原理を持ち込みました。その結果、「せっかく技量を身に着けた女子学生を家庭に戻してしまう」という傾向は弱まりました。ジェンダーバイアスが薄れたのです。

東京音大では、教職員の採用昇進に男女差は無いそうです。

 3.  アーティスト・研究者に必要な力とは何か

芸術分野においてキャリアを築くうえで、不可欠なスキルや知識とはなんでしょうか。また、それらを養う方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

東京音大では、音楽を演奏すること以外にも、さまざまなスキルが必要だと考えています。それを、自己のパッケージ化と呼びます。

自分自身を社会の中で活動できる存在に育て、そうした自分を社会に提示していく力が必要だと考えているのです。専門分野ですぐれているというだけではなく、他の分野の能力と組み合わせることで、その人の個性が発揮されます。

東京音大では、ミュージック・リベラルアーツ専攻という学部をもうけています。
この学部では、
  • 高度な専門実技
  • 英語スキルの獲得
この2つを目指しています。英語スキルの獲得とは、「英語による教養科目」「英文による卒論、制作」です。言葉によって発信する力をもつことが、東京音大のめざすアーティスト像だといえます。

このような力をつけることで、当然、音楽以外の他の分野でも活躍できるのです。

こういったカリキュラムは、美術の分野では難しいのでしょうか。ある美大のパネラーは、言語化をすれば良いとは考えていない、言葉を使わなくても自分の世界観を提示できるのではないか、と答えていました。

4. 実現するために必要な環境とは

女性のアーティスト・研究者が、キャリアを築いていくために必要な環境は何でしょうか。

というテーマでパネラーの人が話しましたが、聞き手の私の注意が散漫になってきたので、箇条書き。

  • 女性らしい〇〇という形容は残念
  • 管理職になることは一つの例だがそれだけではない 
  • セクハラ問題は、声を上げて来なかった自分たちの責任でもあるかも 
  • 女子学生が望んでいることは、意外と保守的である。例えば、東京音大卒業生の傾向を見ると、男性は、音楽活動に進む割合が高く、女性は企業に進む割合が高い。
  • 後輩たちへのアドバイスとして、継続すること・冒険することが大事

5. まとめ

国立音大の人だけが、きちんとスライド資料を用意して、アピールをしていたので、自然と印象に残ります。ミュージック・リベラルアーツ専攻にかける熱い想いが伝わりました。

音楽だけではない、プラスアルファの発信力が大切だ、という考え方は、今のSNS(ソーシャルネットワークサービス)時代にもふさわしいものです。

2018/05/23

「SNS展 #もしもSNSがなかったら」どんな人が見に来ているのかが気になる展覧会だった


能町みね子さんがキュレーターのひとりだということで、SNS展を見に行ってきました。

会場は、アーツ千代田3331。御徒町駅からすこし歩いたところにある、今は使われなくなった小学校です。銀座線を使う人ならば、末広町が近い。

作品は、ツイッターやインスタグラムで活躍している人のものがメイン。その人たちが選んだ「一般人」の作品もあります。

テキストのコーナー、画像のコーナー、映像のコーナーと分かれていて、美術館でもありそうな正統派の展示スタイルです。

わざわざ展覧会になっているくらいなので、それぞれ作品は魅力的です。入場無料だし、ぜひ行くべき。

強く印象に残ったのは、作品よりもむしろ、来ている人たちでした。私は、40代前半なのですが、それより若い人、20代や30代前半の人が大部分だったと感じます。

会場に1時間ほどいましたが、子連れにあったのは、1人だけ。

若い人たちは、SNSをどう使っているのかなと気になりました。身近な人と連絡を取る延長で、「身近な有名人」の言動にいいねをするのかな、と想像したり。

私の使い方は、経済ニュースを集めたり、妻といいねのやり取りをしたりなのですが、そういう使い方ではないのだろうな、という気がします。

2018/05/20

信楽の焼物市でネコの花瓶に一目ぼれ

ミホ・ミュージアムに行った後、私たちが訪れたのは、信楽作家市でした。

もともとの目当ては、「熊倉順吉の陶芸」という展覧会だったのです。でも、急に気が変わって、広場にテントを張ってやっていた信楽作家市をのぞいてみることにしました。

この陶器市、ざっと見たかぎりでは、分厚い焼物ばかり並んでいました。狸の置物に象徴されるように、あまり魅力的ではない残念な感じ。

その中で、妻が目を止めたのは、ネコの形をした花瓶です。

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テントの中には、作者の人がいたのですが、「憎たらしい顔をしているでしょう」と、こちらに声をかけてきました。どうやらこれが、最後の1匹らしい。

このネコを見る直前までは、陶器市では何も買わずに帰るのだろうなと思っていました。でも不思議なもので、このネコを見たすぐ後には、お金を払ってそれを受け取っていたのです。

作者は、田中南央さんといいます。co so a do というサイトで、通信販売をしているようです。田中南央さんのページはこちら

実際に花を飾ってみました。

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大きな花束は飾れないけれど、これくらい飾れれば十分かなと思います。ちょうど母の日に買った花たち。今では、ユリが良い香りをただよわせています。

2018/05/14

滋賀の山の中に「おもてなしの心」がある。ミホ・ミュージアムで感じたこと

ゴールデンウィークを使って、初めてミホ・ミュージアムに行ってみました。

先日、信楽の図書館の記事を書きましたが、ミホ・ミュージアム⇒陶芸の里(信楽焼)⇒図書館の順で回ったのでした。

美術館めぐりが好きな人なら、ミホ・ミュージアムの名前を一度は聞いたことがあるはず。NHKの日曜美術館でも、よく取り上げられている美術館です。

実際に行ってみて、ミホ・ミュージアムが素晴らしいところだと感じた点をお伝えします。

1. 美術館までのアプローチが楽しい

ミホ・ミュージアムは、レセプション棟と美術館棟という2つの区域に分かれています。バスや車で行く場合、まず、レセプション棟の駐車場に降ります。

レセプション棟でチケットを買い、美術館棟まで移動する必要があるのです。ただ、この移動がまったく苦痛ではなく、むしろ心地よいものでした。

まず、山の地形を生かした植栽がみごとです。今の時期は、新緑が目に鮮やか。桜の季節、紅葉の季節、それぞれに見ごたえがありそうと想像できます。

そして、空気が良いです。標高はおよそ400メートルですが、山深いせいかひんやりとしていて、すがすがしい気持ちになれます。

また、途中トンネルに入り、そこから抜けると、不思議なアーチが目に飛び込んでくるのも楽しい。異空間の中に入り込んでいく感覚があります。

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特に問題がなければ、行きはぜひ歩くべきです。この景色を見られただけで、もう満足したと思えるはず。

電気自動車も走っているので、もちろん歩かなくても美術館棟へ行けます。

2. 美術品に心が奪われる

美術館ですから、そこにある展示品は見ごたえがあるものばかりであって欲しい。ミホ・ミュージアムは、そんな望みを満足させてくれるところでした。

私が行ったときの特別展は、猿楽と面―大和・近江および白山の周辺から― というものです。
  • 野上記念法政大学能楽研究所
  • 三井記念美術館
  • 天河神社
こういったところから来た、すぐれた作品が並んでいました。天河神社から来た女の能面は、これぞまさに能面というもの。

(話は変わりますが、天河神社というところも調べてみるとなかなか風情がある場所みたいです。いつかは行ってみたい。)

特別展が見ごたえがあるというのは、当然のことなのかもしれません。各所の名品を持ってきたわけですから。

ミホ・ミュージアムの本当の素晴らしさは、自らの所蔵品の展示にあります。シーズンによって展示替えをしているようで、現在の主な展示品はこのページで見ることができます。

どれも素晴らしいのですが、私が心奪われたのは、中国・漢の時代に作られた帯鈎(たいこう)です。

ようはベルトのバックル(留め金)なのですが、たて4cm・よこ8cmくらいのサイズで、金でできています。それはそれは細かい金細工がされ、龍をあしらい、(たぶん)ヒスイが埋め込まれています。

2千年の時代を超えて輝きを失わない金細工は、やはり素晴らしいと感じます。

所蔵品の展示場所は、言葉の使い方が多少宗教色を感じます。ミホ・ミュージアムの創立者は、宗教指導者であるので、そうなっているのでしょう。

3. スタッフの気配りがありがたい

個人的なエピソードなのですが、子どもが鼻を出してしまっていて、それに気づかずにいました。そうしたら、スタッフの人が、ティッシュをもって駆け寄ってきてくれたのです。

高級ホテルだったらありえるかもしれませんが、ひとり1,100円の入館料なのにこの心づかい。妻から伝え聞いたときは、とても驚きました。

そうかといって過度な接客がされるわけではありません。建物の中が居心地よく感じるのは、きれいに手入れされているからだけではなく、スタッフの人の動きが作り出しているのでしょう。

4. レストランの食事がおいしい

信楽に移動するためのバスの時間まで間があったので、レストランに入りました。レストランの中には、「秀明自然農法で作っている野菜がおいしい」と書いてあります。

食べる前は、「まあそうは言っても、普通の味なんでしょう。観光地価格なのは仕方ない」と思っていました。

パスタと、おにぎりを注文しました。

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一言で言ってしまえば、野菜の味が濃いのです。かみしめると甘みを感じる。キャベツ、たけのこ、どれも良いものでした。メインとなるパスタも、スーパーに売っているのとは違う良い味がします。

子ども用におにぎりを付けたのですが、あまり食べなかったので、二人で満腹になりました。それで3千円と少し。

外食をするなら、こういう経験ができる場所は最高です。

なお、私たちが利用したのは、午後2時半くらい。その時には、半分くらいのメニューが売り切れていました。お目当てのメニューがある場合は、先に食事を済ませたほうが良いでしょう。

美術館棟には、カフェもあるので、またの機会に使ってみたいです。

ミホ・ミュージアムへのアクセス方法

滋賀県大津市にある石山駅から、帝産バスに乗って行くのが手軽です。50分ほどで着きます。1時間に1本しかないので、事前に確認しておくべき。

(私は、地元に住んでいる妻の親戚に車で送ってもらいました。結婚するって素晴らしい。)

くねくね曲がる山道を車で進んでいくと、敷地にたどり着きます。ただし、駐車場で降りてすぐそこにあるのは、展示場所ではありません。

なお、冬や春先は、施設自体が閉じているので、要注意です。来年・2018年は、6月開館らしい。

2018/04/08

色のない世界と色のある世界を行き来した画家ルドン

Eテレの日曜美術館は、新年度第1回目。ルドンが取り上げられていました。
そんなこともありつつ。
先日、ルドンの展覧会に行ったメモです。

​印象に残った作品が3点ありました。

1点目は、「兜をかぶった横顔」



ルドンは、木炭画を含む素描がフランスでは好まれないことを残念がりました。
ものすごく細かく書き込まれていて、みごとだ。という感想につきます。

2点目は、「若き日の仏陀」

ルドンは、植物学者クラヴォーと交流がありました。そのクラヴォーから影響されたと考えられる作品です。

クラヴォーは、東洋の文化に興味を持っていました。そのため、ルドンもブッダのような東洋のモチーフに興味を持つことになったのです。

ルドンの作品のなかで、ほかの作品とは雰囲気が異なっており、目を引きました。土田麦僊が所蔵していた、というエピソードも印象的。

3点目は、「ドムシー男爵夫人の肖像」

黒の服、赤のインナー、余白の青と白。
実物を見ると、そのコントラストが作るイメージが素晴らしい。圧倒されました。

ルドンはドムシー男爵から、邸宅の大広間を飾るという大きな仕事を任されたわけです。この絵は、スポンサーに対する恩返しみたいな作品になります。

そういう経緯で描かれたものです。それだからこそなのかもしれませんが、手抜きをした感じが全然ありませんでした。そのことも印象に残りました。

2018/03/31

明日から大住潤さんの個展が始まる/そして見てきました

大住潤さんという人がいます。木彫りの作品を作っています。

モチーフはいろいろありますが、シロクマがメインです。

そういえば、明日から「ヒナタノオト」で個展が始まるのだったと思い出しました。

何が魅力なのかと聞かれると、うまく言葉にできない。姿かたちはシロクマそのものなのですが、物思いにふけっているようなポーズをしたり、少し人間臭さを感じさせるから、心ひかれるのかもしれません。

魅力を数値化すると、どうなるか。いいなぁと思う作品は、展示開始の瞬間に売り切れている、そんな作家です。

2年前、妻に誘われて行った「松本クラフトフェア」で、たまたま立ち姿のシロクマを見かけたのが、最初でした。一目見て、心奪われ、それからたびたび個展を訪れるようになりました。




(追記) 初日の午後3時ごろ、お店を訪れました。残念ながら、予想通り、「これ良いな」と思った作品は売れてしまっていました。

今までは、自由に写真を撮ることができたのに、写真撮影禁止になっていたのも残念ポイントでした。

公式サイトで下調べしていた時は、ヒグマかと思っていたけれど、グリズリーでした。

赤ちゃんみたいな動きをしているシロクマがいて、ほほえましかったです。大住さんにお子さんが生まれたからこその作品でした。

2018/03/11

「ルドルフ2世の脅威の世界展」でルーラント・サーフェリーを知る

東京・渋谷にある、Bunkamura ザ・ミュージアムで開かれている「ルドルフ2世の脅威の世界展」 

展覧会の見どころはこちら(公式サイト)

アルチンボルドの絵を前面に出して宣伝をしていますが、会場で一番目を引くのは、ルーラント・サーフェリーの一連の絵です。

ルーラント・サーフェリーという名前は、今回の展覧会で初めて知りました。オランダの画家一族に生まれ、ルドルフ2世のお抱え絵師になったそうです。鳥獣画を得意として、今回の展覧会では、数点の絵を見ることができます。

なかでも、強く印象に残ったのが、「動物に音楽を奏でるオルフェウス」でした。画面を埋め尽くしているのは、数十種類の動物たち。ヨーロッパにもいる動物、ヨーロッパにはいない珍しい動物、様々です。

ただ単に動物が描かれているというだけではなく、画面全体から、絵の魅力が伝わってきました。

ここで、「Orpheus charming the animals Roelant Savery」と検索してみると、いろいろな絵が見つかります。ルーラント・サーフェリーは、この「動物に音楽を奏でるオルフェウス」というテーマを好きで、何点も描いたのだと考えられます。

やはり、画家は自分が好きなテーマは何回も描くのだな、ということを改めて感じたのでした。

今回の展覧会では、ほかにも、ヨハネス・ケプラー、ティコ・プラーエといった、天文学の発展に貢献した人たちの書籍などがあります。

むかし、私が、地学が好きで勉強したことを思い出しながら、興味深く見ました。