経済学では、意外にも、笑いに関する研究が多いという話から。
番組は始まります。
お笑いと景気・生産性
まず、お笑い番組の放送時間とGDP成長率との間には相関関係
がある、つまり、不況になるとお笑い番組の放送時間が増えるという
研究成果が紹介されました。
(1) 漫才ブーム 1981年頃
(2) 深夜お笑い番組ブーム 1990年頃
(3) お笑いバトルブーム 2000-2004年頃
(4) ショートネタ番組ブーム 2010年頃
行動経済学の研究でも、笑って幸せになると生産性が高くなる
とされています。
そのことを裏付ける実験として、同じ程度の成績の生徒を2つの
チームに分けて、片方にはコメディー番組、もう片方には風景映像を
見せた後、計算問題を解かせたら、コメディー番組を見た方は
正答率が10.5%アップした、という例があるそうです。
行動経済学とは何か
ここで、行動経済学とは何か、少し詳しく見てみます。
伝統的経済学では、人は皆、合理的で利己的(ホモ・エコノミクス)とされています。
確かに、マーケットで生き残るのはそういう人かもしれませんが、
大多数の人は、感情で生きています。
そして人は、しばしば、経済的合理性ではなく、感情により行動が
変わることがあります。そのような側面を取り入れたものが、
行動経済学です。
最近、アメリカ合衆国では、大統領令として、
「アメリカ合衆国は国民の生活のために行動経済学などの知見を
政策に取り込む」とうたわれているほどです。
なお、この大統領令の内容を詳しく紹介しているサイトが、
こちら。
(東京大学政策ビジョン研究センター)
行動経済学の用語として、「メンタル・アカウンティング」というものがあります。
これは「心の会計」とも呼ばれ、人のお金の使い方は必ずしも
合理的なものではない、という行動経済学の考え方です。
例えば、野菜を買う時は、10円の違いでもどちらを選ぶか悩むが、
洋服を買う時には、10円の違いは気にしないなど。
こちらのサイトで、詳しく説明されています。
落語の中の経済学
経済と関わるような落語として、「
千両蜜柑」がとりあげられました。
話の筋は、
ミカンを食べたいという若だんなのために、番頭が買い求めるが、
時期は夏のこと。町にはミカンなど売っておらず、ようやく見つけた
ミカンは、「千両(現在の価値で1億円)なら売る」と言われ
買うのだが、……。
この話では、価格と価値の違いが描かれています。
価値は、相対的(人によって何に価値を見出すかが異なる。例えば、
真夏にミカンを食べようとする人もいる。)ですが、
価格は決まっているものです。
そして、価格が、ある人にとっての価値を下回っていれば、
つまり、ある人にとってお買い得と感じられるなら、値段がいくらであろうと
買いたくなるのです。
又吉さんのエピソードとして、こんな話が紹介されました。
「高いけれど欲しい服があった。まだ買えないから、セールまで待ちたい。
でも、セールが始まったら売れてしまうのではないか。
そんな心配をしていたのに、服はセール後も結局売れずに残っていた。」
笑いとは何か
経済学者、ピーター・マグロウの研究は、「笑いとは無害な逸脱である」
と結論づけています。
日本では、桂枝雀が「笑いとは緊張と緩和である」と唱えました。
マグロウは、笑いを研究するために世界中を回ったそうですが、
(
こちらのサイトに面白くまとまっています)
日本では、コントトリオ「パンサー」のピーター尾形が面白いと思ったそうです。
私は「パンサー」って初めて聞いたので、思わず動画を見てしまいました。
いいね。
笑顔とは何か・笑顔の効能
番組では、「本物の笑顔とは何か」について考えてみました。
ここまでくると、だいぶ経済学から離れた気がしますが、気にしない。
デュシェンヌ・スマイルというものがあります。これは、
- 口角をあげて
- 目の端にカラスの足跡のようなシワを作る
というものです。
アメリカの高校の卒業生を対象にした調査では、卒業アルバムの写真で
デュシェンヌ・スマイルがどれくらいできているかによって、
卒業後の生活を比較してみました。
すると、デュシェンヌ・スマイルができている人は、平均27歳で結婚し、
52歳の時点で結婚生活は順調、生活の満足度は高い。
また、心身ともに健康である傾向も高い。といった結果が出たそうです。
歳をとるにつれ、デュシェンヌ・スマイル度が高い女性は、
有能で心理的にも安定し、成功するために努力をしている。
また、嫌なことがあっても立ち直るのが早い。
調査結果から、以上のように結論付けられました。
笑い・笑顔は、ここまで重要なものなのですね。改めて身に染みました。