ハルさんがおとずれたのは、東京・高尾にある、1970年代の住宅を生かしたカフェです。
店の名前は、
TOUMAI(トゥーマイ)。住所は八王子市館町657。高尾駅から歩いて12分ほどのところにあります。
軒の幅が広くて、雨戸があるのが、70年代の戸建ての特徴です。
2階軒下の換気口は、軒天有孔(のきてんゆうこう)ボードになっています。これは、屋根の中を換気する建築材なのです。
そして1階の換気口は、より古い形をしています。その理由は、後で分かることに。
店の中は、壁がなく、ひろびろ。
レモンシチューという、ふしぎな名前のシチューがメニューにあります。
ここで、オーナーの白川由紀さんをご紹介します。
もともと、この建物は、建築士をしていたお父さんが建てた家です。そのころ、世の中は、ひとりひとりが自分の部屋で過ごす時代になります。
由紀さんの家も、増築により2階ができて、由紀さんは自分の部屋を持つことができました。その部屋の中で、海外への夢をふくらませた由紀さんは、大人になり、海外を飛び回るようになったのです。
そうしているうちに、いろいろ運ばれてきました。
まずは、バタフライピーという青い花からできた、きれいな青色をしたお茶。バタフライピーは、東南アジア・インド原産のマメ科の植物です。
タイではハーブとして、お茶だけではなくシャンプーにも使われているとか。台湾でも、よく見かけるそうです。
バブル崩壊のせいで、就職活動に失敗してしまった由紀さん。お父さんから、「恐れず本当にしたいことをしろ」と言われて衝撃を受けました。
結局、旅そのものを仕事にすることにしたのです。ユーラシア大陸横断のバスツアー、アフリカ縦断のトラック旅を企画しました。
100カ国を回った由紀さんが挑戦したのは、空き家となった実家でカフェを開くことでした。
ここで、先ほどメニューで見たレモンシチューの登場です。これは、西アフリカ地域の家庭料理。由紀さんが、この料理をコートジボワールで食べて感動したことから、お店のメニューになりました。
半分に割ったオクラとトマトが目に鮮やかです。骨つきの鶏肉は、スッとスプーンがとおる柔らかさ。
ここで、レモンシチューのレシピをのせておきます。
- まずはレモンをしぼります 。
- レモン汁・塩・砂糖・しょうゆ・にんにく・はちみつ・マスタードを混ぜて、タレを作ります。
- 骨つきの鶏肉をそのタレにつけて、一晩寝かせます。
- 骨つきの鶏肉をタレから出して、焼きます。
- 鍋で玉ねぎを炒めたら、4.で焼いた鶏肉と、3.の「つけダレ」に水を足して、鍋の中に入れます。そして、沸騰させます。
- なお、5.で煮るときには、月桂樹の葉を入れると良いでしょう。
完成です。
由紀さんのおかげて、心の豊かさを大切にする人たちがカフェに集うようになりました。
由紀さんは、「大丈夫」と言うことで、世の中のムードが良い方向に変わるんじゃないかと考えています。不安を感じている人が、「自分は自分のスタイルで良いんだ」と思ってくれればいいと、由紀さんは願っています。
ここのカフェが、人をそんな気持ちにさせる場になればよい、と考える由紀さんなのでした。